捜査段階では、少年の弁護人として、まずは頻繁に面会して本人の言い分を丁寧に聞き取ります。少年の場合、成人の場合以上に捜査官に迎合的になりやすく虚偽の自白に至る例が多いため、虚偽の自白調書が作成されないように取調べに対する対応をアドバイスします。

少年事件では、成人の事件とは異なり、捜査機関の捜査が終わると家庭裁判所に事件が送られます。家庭裁判所に事件が送致され、かつ、観護措置がとられている場合には、観護措置期間は最大で8週間と期間が限られているため、集中的に審理が行われます。そのため、捜査段階から、少年の供述を裏付ける証拠を収集したり、証人を探して陳述書を作成するなどの証拠を収集します。

審判では、短期間に集中的に審理がなされるため、事実を争う場合には、どの証人をいつ調べるのか、立証計画を明確にする必要があります。家庭裁判所に事件が送致された後、早期に刑事記録を閲覧して速やかに裁判官と面談を行い、なるべく早期に第1回審判を入れて少年の言い分を聞いてもらえるように要請するとともに、証拠調べの必要性を説明し、証人尋問の期日を確保してもらえるように活動します。

また、観護措置をとる必要がないと考えられる事案では、在宅で審理を行うことで足りる旨の意見書を提出するなどの活動を行い、仮に、観護措置をとられた場合には、観護措置決定に対する異議申立てや、重要な証人の尋問が終わった後に、観護措置の取消しを求める活動を行います。

少年事件では、成人の刑事事件とは異なり、捜査機関から送られてきた証拠書類が全て証拠となります。従って、少年の言い分と矛盾する事実が記載された関係者の供述調書も裁判官の目に触れることになりますので、そのような書証に対しては個別に意見書を提出して裁判官の注意を喚起する必要がありますし、証人尋問を申請して事実を争うことになります。また、付添人も証拠を提出することができますので、積極的に証拠書類を提出して非行事実を争うことになります。