交通事故を起こして相手にけがを負わせてしまった場合には、まず、「過失運転致傷罪」が成立し、相手が死亡してしまった場合には「過失運転致死罪」が成立し得ます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「法」といいます。)5条)。これらの犯罪は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金の刑罰が定められています。
さらに、飲酒や薬物による運転困難な状態での運転行為や高速度や信号無視等悪質な運転行為の場合には危険運転致死傷罪(法2条、3条)が成立する場合もあり、この場合、相手を負傷させてしまった場合には最高で15年以下の懲役刑、相手を死亡させてしまった場合には最高で1年以上20年以下の懲役刑の刑罰が定められています。
また、事故直後にアルコールや薬物を摂取したり、その場を離れてアルコールや薬物の濃度を減少させたりした場合には、「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が成立し(法4条)、12年以下の懲役に処せられます。なお、その場から逃げた場合には、これとは別に救護義務違反の罪(道路交通法72条1項及び117条2項)も成立し、その場合、最高で18年の懲役刑の刑罰が定められています。
さらに、無免許運転で死傷事犯を起こした場合には、更に法定刑が加重されます(法6条)。