窃盗罪と一言にいっても、その態様は様々です。
空き巣や万引き、ひったくり、車上荒らし、下着泥棒、スリ、置引きなど、これらの行為は全て窃盗罪が成立し得ます。
ただし、同じ「他人の物」を取る行為であっても、例えば、暴行や脅迫という強硬な手段を使って物を取る行為は、窃盗罪より刑の重い「強盗罪」が成立する可能性がありますし(5年以上の懲役刑)、更に被害者に怪我を負わせた場合には「強盗致傷罪」が成立する可能性もあります(無期または6年以上の懲役刑)。
特にひったくり行為の場合には、窃盗罪なのか強盗(致傷)罪なのかが問題となり争われるケースが多いです。
また、通常の窃盗罪(刑法235条)であれば、1月以上10年以下の懲役または50万円以下の罰金刑ですが、過去10年以内に3回以上、窃盗(未遂)罪で6か月以上の懲役刑を受けたことがある場合には、「常習累犯窃盗罪」(盗品等の防止及び処分に関する法律3条)という通常の窃盗罪よりも更に刑の重い犯罪が成立し得ます。
その場合、最低でも3年以上の懲役が科されることになっています。
このように、行為態様や前科によっては、単純な窃盗罪が成立するとは限らないことに注意が必要です。