
近年は、出会い系サイトを通じて、青少年に対するいん行又はわいせつな行為がおこなわれるという事件の発生も少なくありません。
福岡県青少年健全育成条例(以下「本条例」といいます)第31条第1項によれば、「何人も、青少年(18歳未満の者)に対し、いん行又はわいせつな行為をしてはならない。」とされ、この場合には、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」(本条例38条1項1号)とされています。
なお、後で述べるとおり、16歳未満の者に対する性行為やわいせつ行為については、加害者と被害者の年齢が5歳以上離れていると不同意性交等罪や不同意わいせつ罪に該当することになり、罰則も相当重いものとなりますので、詳しくは「性被害」の事件類型のページをご確認ください。
本条例違反事件の特徴としては主に以下の三つが挙げられます。
一つ目は、「いん行」とは、青少年に対する性行為一般をいうものではなく、「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性行類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行類似行為をいう」とされている点です。すなわち、真摯な交際のうえでの性行為であれば、処罰の対象外となるということです。
二つ目は、本条例は、青少年(18歳未満の者をいいます。)の年齢を知らないことを理由として、処罰を免れることができないと定めている点です(本条例第38条7項。ただし、過失のないときはこの限りではないとされています。)。
三つ目は、本条例が、青少年の健全な成長を阻害する恐れのある行為を防止し、もって青少年の健全な育成を図ることを目的としており(本条例第1条)、いん行又はわいせつな行為の相手となった青少年が被害者とされている点です。親告罪ではないので、告訴の有無にかかわらず、起訴される可能性があるということです。