文書偽造罪は、公文書や私文書を偽造・変造したり、虚偽の内容の診断書等を作成したりすることによって成立する犯罪です。文書は国民の生活の基盤となるものなので、文書に対する信用性を保護することを目的として、このような行為が禁止されています。
文書偽造罪といっても、文書の種類や行為によって細分化されており、御璽(天皇の印鑑)を使用して詔書を偽造した場合には無期又は三年以上の懲役(刑法154条1項)となっているものから、私文書を偽造した場合に一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する(刑法159条3項)となっているものなど、様々なかたちで定められています。
文書偽造罪の特徴は、文書偽造罪だけが問題となるケースよりも、「文書を偽造して横領した」「文書を偽造して詐欺を行った」というように、文書偽造罪と別の犯罪がセットになっていることが多いのが特徴です。
また、「偽造といえるのか」「対象文書に該当するのか」といった犯罪成立要件をみたすかどうかが問題となり、成立自体が争われることが比較的多い事件ともいえます。