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覚醒剤取締法違反事件の特徴

覚醒剤に関する事件は,薬物犯罪の中で大きな比率を占めています。
覚醒剤は,覚醒剤取締法という法律によって規制されています。覚醒剤取締法では,覚醒剤の輸入・輸出,所持,製造,譲渡・譲受,使用等が禁止され,それぞれに厳しい罰則が科されています。覚醒剤を営利目的で輸入,輸出または製造した場合は,法定刑に無期懲役が含まれているため,裁判員裁判の対象事件となります。
ここでは,覚醒剤取締法違反の中でも,特に検挙される件数の多い,覚醒剤の所持及び使用についてとりあげます。

覚醒剤の所持
覚醒剤は,原則として所持を禁止されています(覚醒剤取締法第14条第1項)。この規定に違反して覚醒剤を所持した場合,「10年以下の懲役」(同法第41条の2第1項)という刑罰が定められています。営利の目的で覚醒剤を所持した場合は「1年以上の有期懲役」または「情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金」という刑罰が定められています。営利の目的とは,犯人が自ら財産上の利益を得ることを目的とすることや,第三者に財産上の利益を得させることを目的とすることをいいます。
覚醒剤の使用
覚醒剤の使用は原則として禁止されています(同法第19条)。この規定に違反して覚醒剤を使用した場合,「10年以下の懲役」(同法第41条の3第1項第1号)という刑罰が定められています。
共通する特徴
覚醒剤の所持や使用で逮捕・勾留された場合,起訴され,長期間身体拘束を受けることがほとんどです。また,覚醒剤には依存性があると言われており,覚醒剤事犯は再犯率が高い犯罪です。
いかに覚醒剤との関わりを断ち切るかが重要になります。

覚醒剤取締法違反罪の弁護活動

まず,被疑者ご本人から事情を伺って,事実関係に間違いがあるか否かを確認します。また,薬物犯罪では,証拠の捜索・押収,身体拘束手続きをめぐって違法捜査が問題になることが多く,違法な捜査が行われていないかという点も重要になるため,その点にも注意して事情を伺います。

自白事件の場合
事実関係に争いがない場合は,ほぼ起訴されると考えて間違いありません。起訴された場合,長期間身体拘束されることになります。保釈の申請を行うことは可能ですが,覚醒剤取締法違反事件で保釈を認めてもらうことは,原則として非常に困難です。
覚醒剤所持・使用の自白事件の場合で,かつ初犯であれば,即決裁判手続が選択されることがあります。即決裁判手続とは,事案が明白かつ軽微であること等の事情を考慮して,検察官が相当と認めた場合に,被疑者の同意を得て,行われる手続です。即決裁判手続では,できる限り早い時期の公判期日を定めなければならないとされており,通常の裁判より早期に公判期日が指定されることになります(原則として起訴から14日以内)。また,審理は1回で終わり,その日のうちに判決が言い渡されるのが通常です。そして,懲役または禁錮の言い渡しをする場合には,必ず執行猶予の言い渡しがなされます。つまり,早期に身体拘束から解放されることとなります。ただし,この手続きでは,事件について争うことはできません。弁護人に選任されれば,即決裁判手続に同意すべきか否かについて,アドバイスをすることができます。

また,即決裁判手続は,執行猶予判決が予定されている手続になりますので,申し立てが行われた場合には,覚醒剤取締法違反事件であっても保釈が認められる場合があります。
裁判では,被告人が真摯に反省の態度を示し,裁判官に二度と覚醒剤と関わらないと信じてもらうことが重要です。それを立証するために,被告人本人の反省を促し,病院・薬物依存症リハビリ施設など,相談や治療などに当たっているところに通えるよう手配し,それを裁判官に示すという活動が考えられます。
否認事件の場合
ア 事実関係を争っている場合,共犯者がいる場合などは,被疑者と一般の方との面会が許されないことがあります。その場合でも弁護士は,被疑者と面会することが可能です。
否認事件では,捜査段階において,虚偽の自白調書が作成され,その自白調書が重視され,裁判で有罪判決が下されることがあります。弁護人に選任されれば,虚偽の自白調書が作られないよう,頻繁に接見を行って,状況を確認し,取り調べでの対応をアドバイスすることができます。また,被疑者とご家族との面会が可能になるよう,裁判所に対し,申し立てを行うこともできます。

イ 覚醒剤の使用を疑われた場合には,尿検査が行われます。尿検査の結果,覚醒剤が検出されると逮捕・勾留されることとなります。仮に尿から覚醒剤が検出されたとしても,自分の意思で覚醒剤を使用していなければ,有罪にはなりません。例えば,他人から無理矢理覚醒剤を打たれた場合,覚醒剤が混入されているとは知らずに摂取していた場合には,覚醒剤使用の故意がないということになります。
そのような場合には,覚醒剤を摂取した状況を詳細に聴取し,摂取方法や状況に自らの意思で摂取した場合と矛盾する点がないかどうかを検証し,被疑者の弁解内容が不合理でないことの裏付けを探します。

ウ 覚醒剤を所持していたとしても,覚醒剤を所持している事実や,所持している物が覚醒剤であるという事実を認識していなければ,覚醒剤所持の罪は成立しません。例えば,知人から預かっている荷物に覚醒剤が入っていたが,荷物の中身を知らなかった場合は,覚醒剤を所持しているという認識がなかったことになります。そのような場合には,覚醒剤が入っていた荷物の中身や荷物を預かった経緯及び知人との関係性を確認し,所持の認識がなかったことや弁解内容が不合理でないことの裏付けを探します。
また,複数人で車に乗っており,その車に覚醒剤があった場合は,誰が覚醒剤を所持していたのかという点が問題になります。そのような場合には,車の中の覚醒剤があった場所,誰の車だったのか,車内の状況等を確認し,被疑者・被告人の所持とは評価できないことの裏付けを探すこととなります。

エ 捜査段階において,被疑者の弁解内容の裏付けを探し,それをもとに作成した意見書を検察官に提出し,不起訴処分を求めます。
起訴された場合は,被告人の弁解が不合理でないことを主張・立証し,無罪判決の獲得を目指します。

覚醒剤取締法違反に関する事例

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