強盗罪は、暴行や脅迫をして他人の財産を無理矢理奪った場合に成立する犯罪で、その刑罰については、「五年以上の有期懲役」が予定されています。
また、強盗罪の中には、事後強盗と呼ばれるものもあり、もともとはただの窃盗犯であった人が、①盗んだ財物を取り返されることを防いだり、②逮捕されるのを免れようとしたり、③証拠を隠滅するために、暴行や脅迫をした場合にも強盗と同様に扱われます。例えば、留守中の家に侵入していて盗みをしていたところ、帰宅した家人に見つかったため、家人に暴行をして逃げたというものが事後強盗に当たります。
なお、強盗が人を負傷させたときは、強盗致傷罪となって、刑罰は「六年以上の懲役」となりますし、強盗が人を死亡させたときは、強盗致死罪となって、刑罰は「死刑又は無期懲役」となります。
強盗罪や事後強盗罪は裁判員裁判対象事件ではありませんが、強盗致傷罪と強盗致死傷罪は裁判員裁判対象事件ですので、起訴された場合には、長期間身柄が拘束されてしまうことが予測されますし、裁判自体も裁判員を交えた集中的な審理になりますので、裁判員裁判に関する経験や専門的な知識も重要になってきます。
これらの「強盗」の罪が成立するには、いくつかの要件を満たす必要があります。例えば、暴行や脅迫の程度については、「被害者の反抗を抑圧するに足りる程度」でなければならないとされていて、そのような程度に該当しているかどうかについては、①暴行・脅迫の態様、②犯行場所、③犯行時刻、④周囲の状況、⑤相手方の性別・年齢・体格等も考慮して具体的に判断すべきとされています。
強盗罪自体重い罪ですし、例えば、強盗致傷罪が窃盗罪と傷害罪になるかどうかは裁判員裁判になるかどうかにも関わってきますから、強盗罪が成立する要件を満たしているかの検討は重要となります。