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不同意わいせつ罪、不同意性交等罪事件の特徴

婚姻関係の有無にかかわらず、
①暴行・脅迫
②心身の障害
③アルコール・薬物の摂取
④意識が不明瞭
⑤拒絶するいとまを与えない
⑥恐怖・驚愕
⑦虐待
⑧経済的・社会的地位の利用
により、同意しない意思の表明が困難な者に対し、わいせつな行為をすると、「不同意わいせつ罪」が成立し、「6カ月~10年」の拘禁刑となり、性交等をすると、「不同意性交等罪」が成立し、「5年~20年」の拘禁刑となります。
なお、「性交等」とは、「性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの」と定義されています。

行為がわいせつなものではないと誤信をさせたり、行為をする者について人違いをさせたりしてわいせつな行為をした場合、性交等をした場合も同様です。

16歳未満の者に対してわいせつな行為、性交等を行うと、たとえ同意があっても不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が成立します(ただし、被害者が13歳~15歳の場合は、加害者は被害者より5歳以上年上である者に限ります)。

そして、不同意わいせつに際して、被害者に怪我を負わせたり死なせたり場合には、致死傷罪として「3年~20年の懲役」又は「無期懲役」となります。
不同意性交等に際して、被害者に怪我を負わせたり死なせたり場合には、致死傷罪として「6年~20年の懲役」又は「無期懲役」となります。
致死傷罪については、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が未遂であっても成立します。

また、「18歳未満の児童を監護している者」が、18歳未満の児童に対してわいせつな行為や性交等を行った場合には、同意があるかどうかにかかわらず、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪と同じ刑が科されます(監護者わいせつ及び監護者性交等)。
この「監護している者」には親だけではなく、親と同程度に保護監督している者を基準とし、例えば義理の親や養護施設などの職員といった方も該当することがあります。

不同意わいせつや不同意性交等罪事件にはいくつかの特徴があります。

1つ目の特徴は、被害者が許してくれるかどうかが極めて重要になるという点です。
不同意わいせつ罪と不同意性交等罪は「親告罪」ではなく、被害者からの告訴がなくても起訴することができるようになっています。
しかしながら、それでも被害者が許してくれているかどうかが、起訴するかどうかにあたって重視されていることには変わりありません。その意味で、被害者が被害届や告訴を取り下げてくれるかどうかが極めて重要になります。

2つ目の特徴は、性犯罪の被害者は非常に大きな精神的被害を被っている方が多く、被害者の方を更に傷つけることのないようにしなければならないという点です。被害者とどのように接していくかということが重要な課題となってきます。

3つ目の特徴は、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪の否認事件では、上述した①~⑧の要件を満たしているかや、その要件を満たしていることについて故意があったかについて争いになりやすいという点です。不同意わいせつ罪や不同意性交等罪は令和5年7月13日から法改正が施行されていて、その後、事案が蓄積されていくことになると思いますので、その事案も参考にしながら、弁護方針を含めて慎重に検討する必要があります。

不同意わいせつ、不同意性交等罪の弁護活動

不同意わいせつ罪事件、不同意性交等罪事件での弁護活動では、上記のような3つの特徴を踏まえた弁護活動が欠かせません。

被害者との示談交渉
被害者との示談交渉にあたっては、被害者がそもそも謝罪のために会ってくれないという場合があるため、警察官や検察官にも協力を求めながら謝罪と被害弁償をさせてもらえないかということを根気強く行っていきます。
特に顔見知りでない人が被害者の事件の場合には、今後一切出会うことがないようにする配慮や、住所などの個人情報が被疑者に知られないよう配慮することなどを説明し、少しでも被害者の不安を取り除くようにしていきます。
その上で、被害者に許してもらうために謝罪と被害弁償(慰謝料)の準備を行っていきますが、不同意わいせつ罪事件や不同意性交等罪事件においてはその金額が軽微な痴漢事件と比べて高額になる傾向があります。
また、被害弁償金の準備にあたって、被疑者が結婚している場合には離婚問題に発展する場合も多いため、妻に協力してもらうことが難しい場合があります。そういった場合には両親や親戚に協力をお願いします。
起訴された後に示談が成立した場合であっても、刑が軽くなる大きな要素となります。
上述した①~⑧の要件を満たしているかや、その要件を満たしていることについて故意があったかについて争われる場合があります。
そのような場合には、具体的に現場がどのような状況だったのか、場所、時間帯、被害者との関係、メールがある場合にはその内容などが客観的な証拠として重要になってきます。
客観的な証拠をもとにして最も重要な証拠である被害者の女性の証言に虚偽部分がないかということを慎重に調査していくことになります。
その結果、被害者の証言の信用性がないとして無罪となる場合もあります。当事務所においても、不起訴や無罪となったケースがあります。
もっとも、このように争うこと自体が反省していないことのあらわれと見られて量刑の重くなる要素となる場合もあるため、その方針にあたっては被疑者と慎重に検討していかなければなりません。

性被害に関する事例

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