殺人罪は、文字通り、人を殺した場合に成立する犯罪で、その刑罰についても、「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」という重い刑罰が予定されています。
殺人罪で典型的に争われることが多いのが、殺意の有無です。殺意は、自分の行為によって相手方が死亡することを認識している場合(確定的殺意)だけでなく、死亡するおそれがあることを認識している場合(未必的殺意)にも認められますが、このような殺意を認めるための直接的な証拠は、本人の自白しかありません。
そのため、本人が殺意を認めていない場合には、
- 凶器の種類
- 凶器の使用方法
- 創傷の部位
- 創傷の程度
- 動機の有無
- 犯行後の前の言動
- 犯行時の言動
- 犯行後の言動
等の情況証拠を一つずつ検討しながら、殺意の有無を検討していくことになります。
また、本人が殺意を認めている場合であっても、殺人は自分や第三者を守るためにやむにやまれぬ事情があって行われることが少なくありませんので、犯行に至るまでの経緯等について十分検討する必要があります。
なお、殺人罪は裁判員裁判対象事件でもありますので、起訴された場合には、長期間身柄が拘束されてしまうことが予測されますし、裁判自体も裁判員を交えた集中的な審理になりますので、裁判員裁判に関する経験や専門的な知識も重要になってきます。