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殺人事件の特徴

殺人罪は、文字通り、人を殺した場合に成立する犯罪で、その刑罰についても、「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」という重い刑罰が予定されています。
殺人罪で典型的に争われることが多いのが、殺意の有無です。殺意は、自分の行為によって相手方が死亡することを認識している場合(確定的殺意)だけでなく、死亡するおそれがあることを認識している場合(未必的殺意)にも認められますが、このような殺意を認めるための直接的な証拠は、本人の自白しかありません。
そのため、本人が殺意を認めていない場合には、

  1. 凶器の種類
  2. 凶器の使用方法
  3. 創傷の部位
  4. 創傷の程度
  5. 動機の有無
  6. 犯行後の前の言動
  7. 犯行時の言動
  8. 犯行後の言動

等の情況証拠を一つずつ検討しながら、殺意の有無を検討していくことになります。
また、本人が殺意を認めている場合であっても、殺人は自分や第三者を守るためにやむにやまれぬ事情があって行われることが少なくありませんので、犯行に至るまでの経緯等について十分検討する必要があります。
なお、殺人罪は裁判員裁判対象事件でもありますので、起訴された場合には、長期間身柄が拘束されてしまうことが予測されますし、裁判自体も裁判員を交えた集中的な審理になりますので、裁判員裁判に関する経験や専門的な知識も重要になってきます。

殺人罪の弁護活動

殺人事件での弁護活動では、上記のような特徴を踏まえて、次のような弁護活動を行います。

事実関係に争いがない場合
殺人事件の場合、死亡という重大な結果が生じてしまっていますし、被害者側の遺族が負った精神的損害は極めて大きく、経済的な損害も高額になることが通常ですので、示談交渉は極めて難しいところがあります。被害者側の意向次第では連絡すら取れないこともあるかもしれません。
ただ、仮にそうであったとしても、被害者側に謝罪し、一部でも被害弁償をするなどして、示談交渉をしようとすることは、重要な弁護活動となります。
殺人事件の場合、示談交渉をしたとしても、余程の事情がない限り、不起訴になることはないと思われますが、少なくとも、起訴後に減刑を求める一つの事情にはなり得ます。

また、既に述べたとおり、殺人は自分や第三者を守るためにやむにやまれぬ事情があって行われることも少なくありません。
そのような事案では、減刑を求めるために、犯行に至る経緯について十分な聴き取りを行って、裁判で犯行に至る経緯について主張することも重要な弁護活動になってきます。
このような弁護活動をする場合、本人の供述だけでは、裁判官や裁判員に信用してもらうことができない場合もありますので、客観的な証拠を確保して、証拠調べ請求することも検討する必要があります。
この点、検察官側は、有罪であることを証明するために必要な証拠しか提出せず、犯行に至る経緯に関する証拠を提出しないことは少なくありません。
ただ、裁判員裁判では、裁判が開始される前に行われる公判前整理手続という手続の中で、類型証拠開示請求や主張関連証拠開示請求という制度を使って、検察官側の手元にある証拠を開示してもらうことができます。
ですので、弁護人としては、そのような制度を駆使しながら、犯行に至る経緯の裏付けになるような証拠を手に入れて証拠請求することが大切になります。

なお、殺人事件の場合、予定されている刑罰が重いため、事実関係に争いがない場合であっても、早期の身柄解放を認めてもらうことは困難だと考えられます。
事実関係に争いがある場合
事実関係に争いがある場合、殺人罪は特に重大な犯罪ですし、警察官や検察官による取調べはかなり厳しく行われますし、巧妙に行われます。
例えば、よく耳にする取調べ手法として、殺意を否認する被疑者に対して、最初は、「殺すつもりだったんだろう!」と厳しく長時間の取調べをし続けておきながら、突然優しくなって、「殺すつもりがなかったのは分かった。ただ、死ぬかもしれないくらいは分かっていただろう。」といった尋ね方をして、“死ぬかもしれないくらいは分かっていた”と認めさせようとすることがあります。
既に述べたとおり、殺意は、自分の行為によって相手方が死亡することを認識している場合(確定的殺意)だけでなく、死亡するおそれがあることを認識している場合(未必的殺意)にも認められます。そのため、“死ぬかもしれないくらいは分かっていた”という内容でも、殺人罪を認めたことになりかねません。
一般の人にはこのような法律の知識はなく、“殺そうと思っていた場合だけが殺人”と誤解している場合もありますから、上記のような取調べをされると、“漸く警察官が自分が殺人犯ではないことを信じてくれた”と安心して、本当はそこまで思っていたわけではないのに、“死ぬかもしれないくらいは分かっていた”と認めてしまうおそれもあります。
このような警察官や検察官による取調べは、体力的にも、精神的にもきついものがありますし、法的な助言も必要となります。
ですので、事実関係に争いがあるような場合は、頻繁に接見に行って、意に沿わない自白をしてしまわないようにすることが重要な弁護活動になります。

そして、起訴された場合に、類型証拠開示請求や主張関連証拠開示請求という制度を使って、検察官側の手元にある証拠を開示してもらうことができるのは事実関係に争いがない場合と同様です。
ですので、起訴された後は、公判前整理手続の中で、①凶器の種類、②凶器の使用方法、③創傷の部位、④創傷の程度、⑤動機の有無、⑥犯行後の前の言動、⑦犯行時の言動、⑧犯行後の言動等の情況証拠の開示を受けながら、弁護方針について検討することが重要となります。
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